手術手技
追加発言・2—小児水腎症の腎盂形成術
辻 一郎
1
Ichiro Tsuji
1
1北海道大学医学部泌尿器科学教室
pp.223-224
発行日 1982年3月20日
Published Date 1982/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203309
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1.形成術の適応
先天性水腎の治療方針は小児と成人とではかなり異なる。成人ではIVPでまつたく造影されないような片側性巨大水腎は機能回復がほとんど期待できないため腎摘となることが多い。小児,特に新生・乳児期においては腹部全体を占めるような巨大水腎でdrip-IVPの1,2時間像で造影されないような場合も,とりあえず腎瘻をおいて暫く(最少1,2月)追求すると,ほとんどの例が予想以上の形態・機能の改善を来して形成術の適応となり,かつ実際の遠隔成績も小児は成人より優れている(付表)。
IVP20分で腎抔が描出されたり,drip-IVPで十分な腎盂像がえられる例はもちろん,腎瘻を置かずすぐに一次的形成術を行う。なお腎盂拡張が比較的軽度で機能も良好で,保存的経過追求か形成術か迷う場合には,利尿下のIVPないしdiuretic renographyを行うと有益な情報がえられることが多い。
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