手術手技
追加発言・2—巨大尿管形成術
寺島 和光
1
1神奈川県立こども医療センター泌尿器科
pp.1031-1032
発行日 1982年11月20日
Published Date 1982/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203454
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巨大尿管の形成術は尿路再建術の中では難しい手術の一つである。本症の問題点として,1)巨大尿管の原因が種々あること,2)尿管拡張の程度が様々であること,3)尿管縫縮の際に尿管下部の血行障害が程度の差こそあれほとんど必ずおこること,4)術後の尿管機能の回復(内腔の縮小と蠕動の改善)がどの程度にみられるのかあらかじめ予測しにくいこと,などが挙げられよう。このため手術方法を画一的に決めることが非常に難しい。文献的に見ても本術式は報告者によりかなりの相違がある。たとえば,尿管縫縮の適応を尿管直径1cm以上という意見もあれば2cm以上という意見もあり,縫縮の範囲(長さ)も尿管下部3cm,5cm,10〜12cm,総腸骨血管との交差部まで,下1/2〜2/3などと意見がまちまちである。これは取りも直さず確立された優れた術式というものがいまだないことを意味するわけであり,今後この分野での基礎的臨床的研究の発展を期待したい。
次に筆者が行つている尿管形成術(尿管縫縮と尿管膀胱新吻合術)を紹介したい。筆者はこれまでに30症例,35尿管(すべて小児例)を経験しているが,このような少数例の経験に基づいた方法であるため多分に筆者の主観ないし独断が入つていることをあらかじめお断りしておく。
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