手術手技
追加発言・1—拡大腎盂切石術の留意点
大川 順正
1
Tadashi Okawa
1
1和歌山県立医科大学泌尿器科学教室
pp.519-520
発行日 1982年6月20日
Published Date 1982/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203363
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腎結石を手術的に摘出する場合,腎自体に関してはできるだけその機能に影響を与えない術式が望まれ,他方,結石自体に関してはできるだけその残存を避けるべき方法が望まれる。そしてこの両者には,時として相容れない場合があるところに泌尿器科医の苦悩があり,努力が必要とされる。腎切石術については,hypothermiaの応用とかanatrophic nephrotomyなどの導入がこの点に関する努力の一つであり,他方,腎盂切石術については,真崎論文の拡大腎盂切石術がこの一つである。
Extended pyelolithotomy or intrasinusal pyelo-lithotomyは,1965年Gil Vernetにより提唱されて以来,腎の阻血をしないこと,腎実質を傷つけないこと,および予想以上の大きな結石をも摘出可能であることなどから,諸家の独自の工夫も加わりながら広く応用されるに至つている術式である。われわれの教室でも,結石側と腎盂側の条件を見合わせつつ,最終的には手術時にその術式を選択しているが,本論文に記載されているようなextended pyelolithotomyはこれまでに十数例経験している。以下,これをもとにしていくつかの点について言及してみたい。
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