交見室
RIA法によるAP値測定の臨床的評価について/Coagulum pyelolithotomyについて
石部 知行
1
1島根医大泌尿器科
pp.1022-1023
発行日 1981年10月20日
Published Date 1981/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203233
- 有料閲覧
- 文献概要
貴誌35巻9号掲載の赤阪雄一郎先生他による「ラジオイムノアッセイ法による前立腺性酸性フォスファターゼ測定の臨床的評価」と題する論文を読ませていただきました。
前立腺性酸性フォスファターゼ(AP)値測定が前立腺癌の早期診断法の一つとして用いられておりますがRIA法が大きくのびない理由として測定のための費用と時間のほかに著者らも述べているように抗原の問題があります。すなわち感度と同時に正常値が報告者によつて異なり,成績の互換性がなく,また診断上の有用性にも大きな差が生じています。このほか現在用いられているR-AP測定法のいずれもが女子症例でも陽性にでるということから知られるようになおE-APと同様非特異的なAPを測定しているにすぎないということです。このため睾丸などの酸性フォスファターゼも抗男性ホルモン療法や放射線治療に伴つて変動しうるわけで,治療に伴つてみられた変動のすべてを前立腺癌由来のAPとみることにも疑問があります。著者らも述べているように癌組織を抗原とするのも解決の一法かと思いますが,これまで何故か精液,前立腺液が抗原として用いられてきました。今後癌組織を抗原としたR-AP測定法での検討を期待すると同時に,他のR-AP測定法との比較,可能なら転換係数を考慮した成績を希望しておきたいと思います。
Copyright © 1981, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.