文献抄録
広範性腎盂切石術:腎動脈clampとregional hypothermiaの応用について
pp.778
発行日 1981年8月20日
Published Date 1981/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203194
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1965年,Gil-Vernetにより紹介された広範性腎盂切石術は腎鋳型結石摘出術として広く普及している。しかし,腎内腎盂が狭かつたり,以前に腎盂の手術をうけている症例,あるいは腎杯の小結石などがあると腎切石術を併用することが多い。著者はこのような症例でも広範性腎盂切開のみで結石の摘出が容易に施行できる手技として,腎動脈をclampし,結石介在部を中心に局所的hy-pothermiaを応用する方法を推奨している。
手技は腰部斜切開で後腹膜腔に入り,患側腎を術野に十分脱転し,ただちにX線撮影を行なつて結石の介在部を確認する。腎門部では腎動静脈を分離して腎動脈にテープをかけておく。次に腎背面にて腎盂を広範性に露出するが,もし出血が多ければ腎動脈にブルドック鉗子をかけ,氷塊加生食水嚢を用いて腎を15〜20℃に冷却する。腎動脈をclampすることにより腎全体が縮小しかつ軟かくなるので腎盞の剥離も容易になると同時に,腎杯内結石の触診も可能になつてくる。腎盞が狭く腎杯結石が大きくて摘出困難と思われる時は,結石鉗子にて腎盞を拡張すれば摘出は容易となる。この方法で腎盂,腎杯の大小結石は完全に摘出できるが,なお摘出後に再度X線により残存結石の有無を確認しておく必要がある。著者はこの方法で5例の腎鋳型結石例を手術して全例に完全に結石摘出の好成績を得たと述べている。
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