Japanese
English
手術手技
S状結腸導管法
Urinary Diversion by Sigmoid Conduit
長久保 一朗
1
Ichiro Nagakubo
1
1立川共済病院泌尿器科
1Department of Urology, Tachikawa Kyosai Hospital
pp.939-944
発行日 1980年10月20日
Published Date 1980/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203027
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
尿管S状結腸吻合術は,尿路変更術の一方法として1928年にCoffey1)により発表されて以来,現在もなお施行されているが,電解質の不均衡,尿路感染症の発生などの諸問題が残されている。一方,腸管を空置する回腸導管は1950年にBricker2)により,一般に広く伝えられてから,かなりの年月が過ぎている。しかし,わが国においては,回腸導管の歴史は浅く,術後の長期観察の報告は比較的少ない3) 。回腸導管造設術は,5年,10年と年月を経るにしたがつて,尿が腎臓へ逆流するために,腎盂腎炎の発生をみ,上部尿路の結石の形成,水腎症の発生や腎機能の低下を来す。当院でも,結石の手術や腎臓の摘出を施行した症例もあり,血液透析に移行寸前の症例もある。回腸導管造設術後のこれらの合併症は時には致命的であり,導管の再手術は癒着が強く,困難を極めることが多い。このことより,S状結腸の一部を空置し,尿管をS状結腸紐部(Tenia)で粘膜下を通し,トンネルを形成し,尿の逆流を防止するS状結腸導管造設術が,尿管S状結腸吻合術と回腸導管造設術に代つて注目されつつある。
Copyright © 1980, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.