文献抄録
睾丸悪性奇形腫のリンパ節清掃の意義
pp.532
発行日 1980年6月20日
Published Date 1980/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202964
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悪性奇形腫に対して旁大動脈リンパ節清掃を行なうべきか否かについては欧米の泌尿器科医の間で必ずしも意見は一致していない。英国においては著者らは初期(stage Ⅰ, ⅡA)のものでは,たとえ旁大動脈に転移が考えられても,これが小型(5cm径以下)であれば化学療法と放射線照射(6 MeVリニアック,4,500rads,4〜5週にて)でよいとしている。最近は睾丸腫瘍の化学療法が進んで,悪性奇形腫の広範全身転移症例でも予後が大変良くなつた成績が報告されている(Stoter,1979)。著者らのRoyal Morsden Hospitalでは1976年1月より78年3月までに28例の初期(stage Ⅰ, ⅡA)の奇形腫に対して,旁大動脈節へ放射線照射のみを行なつて全例1年から3年健康に生活している経験から上記の治療方針を支持している。
この論文では33例の悪性奇形腫を治療法に応じて3群に分けて結果を検討した。第1群13症例は旁大動脈節に放射線照射を主体としたが,6例には抗癌剤も投与した。第2群は13症例で,まず化学療法(ビングラスチン,ブレオマイシン,シスプラチン)を2〜6クール施行,4週間おいて放射線を旁大動脈節に照射,更に4週後に残存腫瘤があればこれを摘出した。
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