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母体血清マーカー試験
佐藤 孝道
1
1虎の門病院産婦人科
pp.787-789
発行日 1997年8月1日
Published Date 1997/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543903215
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■母体血清マーカー試験とは
母体血清マーカー試験とは,α-フェトプロテイン(α-fetoprotein;AFP),hCG(free β-hCGが用いられることもある),uE3などの母体血清中物質がダウン症胎児を妊娠していた場合に増減することを利用して,胎児がダウン症である確率を母体年齢単独よりも,より正確に算出しようとするものである1).ダウン症児を妊娠する確率は,母体が高齢になるほど高くなることがわかっている.この確率をいくつかの母体血中物質の増減を用いて補正し,より正確な確率を出すことによって妊婦やその家族の判断を助けるのが検査の目的である.
母体血清マーカーの組み合わせは表1に示したものが一般的である.現時点では,どの組み合わせが最適か明確な優劣はつけられていない.また,こうした物質が,胎児がダウン症の場合になぜ増減するのかもよくわかってはいない.さらに将来より有用な母体血中物質(マーカー)が発見されるかもしれない.良いマーカーの条件は,①測定法が簡便で再現性が高い,②胎児がダウン症以外の場合とダウン症の場合で測定値にできるだけ大きな差がある,③そうした差が妊娠のより早期に顕著になる,などが挙げられる.
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