交見室
いわゆる特発性腎出血について,他
三軒 久義
1
1国立大阪南病院
pp.1026-1027
発行日 1979年10月20日
Published Date 1979/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202840
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本誌33巻7号に掲載された村上信乃先生らの「いわゆる特発性腎出血について—特に血管像および腎組織像による検討」を興味深く拝読致しました。これに関連して,二,三私見を述べさせて頂きます。
確かに,厳密な意味での特発性腎出血は頻度が少なく,診断技術の進歩とともに本症は減少していくべきものであることにはまつたく同感であり,その点から,泌尿器科医のとかく敬遠しがちな腎生検を精力的に行なわれた先生らの努力には深い敬意を表するものであります。しかしながら,先生らの論文を要約してみますと「いわゆる特発性腎出血患者36例に血管撮影と腎生検を行なつた結果,厳密な意味での特発性腎出血は3例のみであつた」ということになり,当初の診断基準の甘さが目につきます。また大胆にも「従来特発性腎出血とされて来た中には多数のIgA腎症が含まれていた可能性がある」ときめつけ,積極的に腎生検を行なうよう警告されています。腎生検の必要性は十分理解できるのですが,IgA腎症があまりにも多いため,その対象とした症例に多少疑問を感じます。少なくとも特発性腎出血という名称を用いる場合は("いわゆる"をくつつけていても),腎炎などの内科的腎疾患をできる限り除外する必要があります。この鑑別が困難なため,一般に特発性腎出1血を論ずる場合には肉眼的血尿のみを対象とすることが多いのですが,先生らの場合は顕微鏡的血尿の症例も対象とされています。
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