文献抄録
膀胱移行上皮癌転移巣のX線検索
pp.663
発行日 1979年7月20日
Published Date 1979/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202779
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膀胱移行上皮癌の各種臓器,組織への転移については,剖検例によつて統計的に報告されているが,生前にX線学的に検査して統計的に観察された報告はほとんどない。実際問題としても,膀胱癌の治療に際してX線学的に転移巣を発見することは極めて大事なことで,著者らはこの点に着目して,335例の膀胱移行上皮癌症例中,遠隔転移の確認された51例について,肺,縦隔,骨,肝,脳,尿道,リンパ節などについて検索統計を試みて報告した。X線学的検索は胸部,縦隔の断層,骨,肝,脳のスキャンニング,尿道撮影,ミエログラフィー,リンパ管造影などを行なつた。膀胱癌については全例生検によつて移行上皮癌でGrade Ⅱ度からⅢ度であることを確認している。51例の有転移例の転移部位は,肺,縦隔27例(全例の6%),骨24例(検索86例の28%),脳3例(検索10例の30%),尿道1例(検索3例の33%)となつている。肺転移の型では多発性転移13例,単発転移7例,肺浸潤型5例,肺浮腫型2例,Pancoat's tumorを生検で1例確認した。胸部単純で正常のもの23例について膀胱全摘のために断層撮影を行なつたが,断層でも異常は見られなかつたが,単純で異常陰影3mmのもの1個を発見した例に断層を行なつたところ4個の異常を見ている。
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