文献抄録
移行上皮癌転移巣のAdriamycin治療/女性の再発性尿道膀胱炎に対する治療
pp.144,167
発行日 1974年2月20日
Published Date 1974/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201762
- 有料閲覧
- 文献概要
移行上皮癌に対して系統的に用いる抗癌剤は有効なものがなく,5-Fuが膀胱移行上皮癌に有効であつたとの報告もあるが,Prout(1970)は否定的な意見を述べている。最近Streptomycesから分離された新抗腫瘍剤のAdriamycinは毒性がなく,RNA,DNAの合成阻害と組織培養にて核分裂抑制作用が知られている。著者らは左腎盂移行上皮癌の症例に用いて劇的効果を示した治療例を詳細に報告している。
症例は52歳男性,主訴は3ヵ月来の左側背腹部痛,発熱,嘔気,体重減少,血尿で,排泄性腎盂造影で左上腎杯に充満欠損像を認め,左分腎尿に異型腫瘍細胞を認めた。肝,骨のスキャンニングは正常。アルカリフォスファターゼ120国際単位と上昇。手術は腎尿管摘出術施行。腫瘍は上極腎盂に4×2.5cm,GradeⅢ〜Ⅳで腎実質に浸潤を認めた。術後一時的には経過良好であつたが,8週間後に発熱,体重減少,食思不振,全身状態も悪くなり,alkali-phosphataseは280単位と上昇,肝シンチグラムで多数の欠損部を認め転移が認められた。そこで1日のAdriamycin 18 mg/M2として4日間総計140 mgを投与した。終了後3日目に発熱,食慾減退,注射部の静脈炎,13日目には口内炎,咽頭炎,白血球減少,脱毛などの症状が現われた。
Copyright © 1974, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.