文献抄録
前立腺癌における骨スキャンの意義
pp.233
発行日 1979年3月20日
Published Date 1979/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202708
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一般に前立腺癌と診断された時点で,癌の骨転移率はBuck(1975)の56%,Lentle(1974)の34%と相当な率であり,骨転移の有無は治療法の選択とも関連するので骨転移の有無は正確な検索が必要あることは言うまでもない。著者は過去3年間に75例の前立腺癌について骨転移の有無をスキャンとX線撮影にて比較検討すると共に,パラメーターとして組織所見,酸アルカリフォスファターゼ値,ヘモグロビン,血沈値などの動態と比較観察している。
骨スキャンはTechnetium triphosphateまたはTe-chnetium pyrophosphateを20mCi注射して90分以上かけてスキャンする。X線の骨撮影は別途に施行して,読撮も別人が行なつた。X線検査と骨スキャンの対比では,44例(88%)の症例がX線では転移なしと判定されたが,スキャンではそのうち17例(38%)に異常取り込みを見た。X線で有骨転移例はすべてスキャンでも陽性となつている。全例について見ると,X線で転移陽性と判定されたものは12%であるが,スキャンで異常取り込みは46%と約3倍の陽性率であつた。また酸フォスファターゼでは,上昇値を示した14例中12例にスキャン陽性であり,アルカリフォスファターゼ値上昇の10例中9例にスキャン陽性であつた。
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