シンポジウム 血管カテーテル法による診断と治療・2
膀胱癌に対する薬物の亜選択的持続動脈内注入療法
松本 恵一
1
Keiichi Matsumoto
1
1国立がんセンター病院泌尿器科
pp.153-156
発行日 1979年2月20日
Published Date 1979/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202696
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このシンポジウムでは,血管カテーテル法による治療がテーマであるので薬物療法の中でも限られた方法による治療となる。本療法の対象は進行癌ではなく進展の浅いものである。その理由は,T1,T2にあつては所属リンパ節転移はない,非浸潤癌がほとんど多中心性増殖を示すこと,そして大部分が予後良好で根治手術の必要がないことなどにより,根治を目的として本療法を施行した。また,T3,T4の症例は所属リンパ節転移はもちろん,遠隔転移もしばしばみられるため,本療法での治療は姑息的なものとしかならないと考える。
亜選択的持続動脈内注入療法は1950年,Kloppらによつて始められてから対象とされた症例はほとんどがT3以上である。1973年緒方らはMMCによる内腸骨動脈内持続注入について報告しているが,その症例中にT1,T2の症例が含まれている.1973年,1974年,1975年にNevinらは5-FUの持続動注と放射線外照射の併用について報告している。その症例はstageC,Dが大部分である。しかし,その成績は極めて良く,15例中9例に完全な治療効果が示されたとしている。
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