文献抄録
進行性前立腺癌の血清中アルカリフォスファターゼの評価
pp.560
発行日 1978年6月20日
Published Date 1978/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202568
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ヒト悪性腫瘍患者の血清アルカリフォスファターゼ(Al-Phoと略)活性の測定は診断上重要であり,殊に前立腺癌では酸フォスファターゼと共に診断予後判定上優れた指標とされている。著者らはAl-Pho値の変動を前立腺癌転移巣の治療反応の目安として観察した結果について述べている。
進行前立腺癌105症例について,Al-Pho値3種(全・肝・骨)について平均18ヵ月の経過を追つて臨床経過との関連について分析している。臨床経過についてはNational Prostatic Cancer Projectの基準にしたがつて3群に分け,1群は部分的改善6例,2群は不変31例,3群は進行68例であつた。Al-Pho値と臨床経過については,治療開始時に全Al-Pho値,骨Al-Pho値の低い症例ほど臨床的に治療効果もよく,逆にAl-Pho値の高い症例では治療に反応しなかつた。そして第1群より第3群間の全Al-Pho値の差違については統計的にP<0.01で有意差を示した。また治療に反応して全Al-Pho値が25%以上下降した例は,第1群で80%,第2群で47%,第3群では10%であつて,第1・第3群間では統計的有意差を認めた。骨Al-Pho値についてみると,下降した症例は第1群・2群あわせて24例中17例(75%)であり,第3群では22例中6例(23%)となつた。
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