交見室
Stress incontinenceについて,他
黒田 一秀
1
1旭川医科大学泌尿器科
pp.482-483
発行日 1978年5月20日
Published Date 1978/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202557
- 有料閲覧
- 文献概要
尿失禁については,内外ともに術語使用に混乱があり,確かめに字引をみたりすると適正な表現がいよいよわからなくなつたりするのが現状であろう。ついでにcontinenceにもよい邦語がない。見出語に載つてない辞書もあるくらいである。International ContinenceSocietyのT.HaldをchairmanとするStandardiza-tion of Terminology of Lower Urinary Tract Func-tionの提案も故あることである。
何故の混乱か,混乱というよりは,個々の著者は自己の見解に従つて使用されているのであるから,不統一というべきであろうが,とにかく思いつくままに理由をあげてみる。1)不随意に尿が漏れるという現象は外見だけでは類別が困難である。原因は多彩なのに現象が単純である。2)問診だけで見当をつけることが多く,実際に漏れの現場を観察することが少ない。3)検査法自体が多種多様である。同じ原理の検査法でも,単位のちがう装置とか術式を使つている。4)術語の表現に急迫とか緊張とか,主観というか病者の知覚が関係する形容詞が入つている。5)著者によつて結論を引き出した患者母集団に微妙な差があるなどということであろうか。
Copyright © 1978, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.