Japanese
English
特集 脳卒中のリハビリテーション
Ⅱ.片麻痺の機能障害と診断学
二次的合併症について
Secondary Complication of Hemiplegic Patients.
三島 博信
1
Hironobu Mishima
1
1中伊豆リハビリテーションセンター
1Nakaizu Rehabilitation Center.
キーワード:
てんかん
,
感覚器
,
排尿障害
Keyword:
てんかん
,
感覚器
,
排尿障害
pp.87-96
発行日 1982年1月10日
Published Date 1982/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104678
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
まえがき
脳卒中後遺症者にみられる合併症について考えるとき,これを3つに分けて整理しておくと理解し易いのではないかと思われる.
1つは,高血圧,脳動脈硬化症,心臓病などで,脳卒中発作の原因や誘因と考えられるもので,再発防止のためにも十分な配慮が必要である.2つは,嚥下障害,脳膀胱,症候性てんかんなどのように脳病変の局在と拡がりに起因していると思われるものである.考えようでは,知覚障害,失語症,失認・失行症なども合併症ということができよう.3つは,二次的合併症と呼ばれるもので,嚥下性肺炎,尿路感染症,肩関節亜脱臼,関節拘縮や内反尖足などの変形,骨萎縮や異所性化骨などである.しかし,これらの合併症はときには複雑に絡みあっている.たとえば,患者が視力障害を訴えた場合でも,その原因に網膜剥離があったとすれば高血圧や脳動脈硬化症との関連を考えなければならない.もしも複視や半盲が関与していれば脳病巣に起因するものと理解しなければならない.また閉眼不全による慢性結膜炎があれば顔面神経麻痺による二次的合併症かも知れない.
表1と2は,昭和55年に千葉県佐倉市で行った脳卒中後遺症者の実態調査の結果の一部であるが,腰痛症,変形性関節症などでは年齢的因子を考慮する必要がある.関節拘縮,変形,褥瘡には初期治療の不備を反省しなければならない.そして,廃用症候群には痴呆化が背景にあることを忘れてはならない.
そこで,本章では,麻痺性嚥下障害,症候性てんかん,知覚・視力・聴力などの感覚器の障害,不定愁訴と仮性うつ病,排尿障害と消化管の異常,骨折・褥瘡・異所性化骨などについて述べたいと思っている.
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.