交見室
前立腺癌の治療方針,他
秋元 成太
1
1日本医科大学泌尿器科
pp.979
発行日 1976年11月20日
Published Date 1976/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202261
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前立腺癌の治療方針決定に際して,われわれ泌尿器科臨床医として迷うことがある。来年の日泌総会のシンポジウムにとりあげられており,いろいろな観点より,問題点が指摘され解明される部分もあると思う。
ここでとくに疑問に感じているのは,前立腺摘除術施行後,摘出前立腺内に潜在癌をみい出したあとの治療方針についてである。最近の多くの報告では,とくに治療の必要なしとされているようであるが,しかし,潜在癌の組織像については,criteriaがあきらかでないためのさまざまな問題が山積しているようにみえる。以前に当教室において追究した(日泌尿会誌,58;783〜841,1967)ときと同じ疑問がいまだに残つている。それはさておき,具体的な例として,摘出前立腺内に,あきらかな潜在癌(組織像の検索で,分化型および未分型を含めて)があり,それが外科的被膜にまでおよび,いわゆる「とりのこし」があると考えられる症例についてである。
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