Urological Letter・188
緊張性尿失禁の膀胱鏡的手術(Pereyra手術の変法の経験)
pp.717
発行日 1976年8月20日
Published Date 1976/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202214
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Pereyra手術のStamey's変法であるが,緊張性尿失禁に対する膀胱鏡的膀胱頸部挙上法の経験を,まだ例数が十分ではないが報告しよう。本法は膀胱鏡でみながら針や糸の通りを制御しながら目的に添うように挙上するのである。針と糸を直腹筋の上から膀胱頸部のところで下方,膀胱腟筋膜の下に通し,逆にまた直腹筋膜の上に出し,膀胱頸部を引き上げるようにして結紮するのである(SG&O,136:547,April 1973)。直腹筋膜の上で2号のmonofilamentナイロンを用いて結紮すれば,マーシャル・マーケッティ法で骨膜に縫合するよりもより一層堅固なように思われる。腟側の糸の端にダクロンカフ(dacron cuff)をつけることもまた縫合糸が抜け落ちることの予防になる。老人で直腹筋膜が非薄なような例では直腹筋膜の上にもカフを用いた方が賢明かも知れない。以前に前方からの修復手術がなされている例では腟部での剥離の際には注意深くしなければならない。それというのは,腟粘膜と筋膜との間を開く場合にそこが破れやすいからである。筆者らの症例のうち1例では,筋膜が一側で破れて,実際には一側だけの挙上に終わつてしまつた。しかし,幸いにこの例はすでに6ヵ月間も完全に失禁が治つている。
この10例の追跡調査はすでに7ヵ月経つている。そして全例が完全に失禁から治つている。これらの例は全部以前に少なくとも1回の修復手術を受けているのである。
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