文献抄録
前立腺癌による両側尿管閉塞患者の治療
pp.658
発行日 1975年8月20日
Published Date 1975/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202015
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前立腺癌の局所浸潤による尿管口の器質的あるいは機能的障害により慢性尿毒症に陥る患者は比較的少ない。著者らは1964年より1973年の10年間にMayo Clinicにて経験した34症例について臨床経過および治療法について述べている。34例のうち14例は尿毒症と診断されてから初めてその原因が前立腺癌の局所浸潤によるものであることが判明したが,その他の20例は癌の治療中に尿毒症になつたものである。臨床症状としては,腎機能障害を主訴としたもの14例,癌転移の疼痛6例,排尿障害6例が主なものである。これらの前立腺癌症例に対する尿毒症例に対して実施された治療法としては,抗男性ホルモン療法16例,血液透析7例,腎瘻設置による尿路変更7例,経尿道的切除術9例,深部放射線照射3例である。しかし患者の全身状態が悪かつたり,治療を希望しないものなど9例はまつたく無処置であつたが,全例とも3ヵ月以内に死亡した。前記の処置を行なつた症例25例についてみると,78%の例が1年以上生存し,無処置群より予後は極めて良い。死因についてみると無処置群は全例尿毒症が死因になつているが,処置群では25例中尿毒症7,癌広範転移3,それ以外のもの10となつている。
前立腺癌による両側尿管閉塞は,尿毒症による死亡が早いので可及的に延命的治療が必要となるが,この処置に関しては個々の症例に応じて決定されなければならない問題である。
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