文献抄録
尿意促迫症・促迫失禁に対する水力学的膀胱拡大法の効果
pp.405
発行日 1975年5月20日
Published Date 1975/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201968
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尿意促迫症の原因については現在不詳であるが,Bates (1970)らは本症は利尿筋過緊張性が多くの症例に見られることを指摘している。従来本症に対して薬物療法をはじめ,膀胱の形成術,利尿筋切開術など種々な外科的療法が行なわれているが,満足し得る方法がないのが現状である。著者らはHelmstein(1966)が膀胱癌患者に対して実施した膀胱の水力学的拡大法を,本症患者20例に試みて良好な結果を得たと報告している。
症例は促迫失禁を主訴とする患者で,泌尿器科的検査で,神経障害,尿路感染,尿路奇型などのない者で,膀胱内圧測定,尿道膀胱映画撮影にて無抑制性膀胱である症例が選ばれた。膀胱の拡張法は,高位の硬膜外麻酔下に膀胱鏡にて内景と膀胱容量を精査した後に,18F FoleyCatheterにcondomをつけHelm-stein法に準じて水圧にて膀胱を拡大する。拡張膀胱圧は患者の収縮期血圧と一致させ,拡張継続時間は30分として4回拡張を行なう。各回毎に膀胱を空虚にしてその度に膀胱容量を計測する。患者は拡張終了の翌日は退院せしめ,経過を観察した。検査結果についてみると,まず内視鏡では排尿障害の原因となる狭窄症はないにかかわらず,全例に程度の差はあつたが肉柱形成が認められた。典型的な好成績の症例では,4回の拡張時の各回容量測定にて,各回毎に膀胱容量の増大が認められている。
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