手術手技
迫加発言・1
上田 公介
1
,
大田黒 和生
1
Kosuke Ueda
1
,
Kazuo Ohtaguro
1
1名古屋市立大学泌尿器科学教室
pp.197-198
発行日 1985年3月20日
Published Date 1985/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203993
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尿管膀胱吻合術—Boari法を行う場合,もつとも重要な点は術後の合併症である吻合部の狭窄をいかに予防するかということである。その理由として,この手術は婦人科や外科における骨盤内手術,殊に悪性腫瘍の根治手術に際して発生した尿管損傷に対して適用される場合が多く,なるべく一度の手術で成功させ,患者への負担を少なくすることがあげられる。またもう一つの術後合併症である膀胱尿管逆流現象は,臨床的にあまり問題となることが少なく,むしろ吻合部狭窄のための水腎症や尿路感染あるいは尿漏やそれに伴う創感染の方が問題が大きく,腎機能保全のための腎瘻術や再手術の必要が生じてくる。筆者らは以上のような考え方に基づき,以下の点に注意しながら本術式を行つている。
1)まず尿管の切除範囲を慎重に決定する。尿管下端部の狭窄部,損傷部,閉塞部などを追究し,その周囲の状況を調べ,尿管の性状より残すべき尿管の長さを決める。この場合,尿管の血管分布にも注意を払う。
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