文献抄録
精索回転症の保存的治療
pp.779
発行日 1974年11月20日
Published Date 1974/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201867
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精索回転症は睾丸の変色が著明な時には,一般に除睾丸が行なわれるが,発症後36時間以内に捻転を戻せば睾丸の萎縮は必ずしもおこらないとの報告もある。著者は1960年より1971年までに38例の精索回転症を保存的に治療し,その臨床所見について述べている。著者の治療法は鼠径部切開で精索睾丸を露出,捻転を戻して温生食水にひたした後に生検をして睾丸を固定する。固定後の睾丸については組織学的に観察すると共に容積の変化も追跡調査した。症例は生後10ヵ月から27歳までで,10歳台に集中している。回転症と急性副睾丸炎の鑑別は困難であるが,回転症では発症後24時間以内の症例では,陰嚢皮膚に特殊な「くぼみ」ができるのが特徴的である。しかし,これは時間の経過と共に陰嚢皮膚の浮腫発赤の増強にて消失してしまう。発症2日目では浮腫と皮膚の肥厚発赤が強くなり,炎症所見は反対側皮膚に及び,肉眼的所見では,24時間以内では正副睾丸の浮腫・充血・出血が顕著で,時間の経過と共にこの所見が強くなり,4日目では線維性滲出物で睾丸白膜の光沢も消失する。
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