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はじめに
各種疾患により下部尿路を生理的な状態に維持することが困難となつた場合,各種の術式により尿管あるいはそれ以上のレベルでの尿路変向術(supravesical urinary diversion)が広く行なわれている。そしてその原疾患がたとえば神経因性膀胱や尿道狭窄のような良性疾患の場合には,膀胱は尿路とはまつたく隔絶された状態でそのまま放置されることが大部分であろう。このようになつた膀胱はほとんど無症状に経過することが多いが,時にはいろいろな病的症状を発する原因になることがあり,"bladder left behind1)"とか"for-gotten bladder2)","pyocystis syndrome3)"などの名でよばれ近年関心を寄せられている。筆者らも最近青年男子の難治性外傷性尿道狭窄に対し尿管回結腸S状結腸吻合術4)(ureteroileocolic sigmoidosto-my)を施行したのちに生じた空置膀胱に起因する合併症を経験し,その治療として性的機能を維持するため,膀胱全摘除術をおこなわず,Lapides5)により紹介されたtubeless vesicostomyをおこない好結果を得ることができたので,ここにその経験をのべ,あわせて本症のいくつかの問題点につき文献的考察をくわえて報告する。
Supravesical urinary diversion for not only tumor of the bladder but for various benign lesions of the lower urinary tract, has been done rather positively by isolating the bladder. This isolated bladder may cause urethral discharge, fever, bladder irritation syndrome, unconfortable feeling and mass at the bladder region which has been called as pylocystis syndrome.
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