Japanese
English
綜説
前立腺癌の診断と治療
Diagnosis and Treatment of Prostatic Cancer
横川 正之
1
,
竹内 弘幸
1
Masayuki Yokogawa
1
,
Hiroyuki Takeuchi
1
1東京医科歯科大学泌尿器科学教室
1Department of Urology, Tokyo Medical and Dental University
pp.355-366
発行日 1973年5月20日
Published Date 1973/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201604
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はしがき
前立腺癌には排尿障害とか神経痛様疼痛などの訴えをもつて診断されるもののほかに,無症状に経過し,剖検などで偶然に発見されるいわゆる潜在癌のあることは周知の通りである。このものはlatent cancerとかpathologist's cancerと呼ばれているが,この意味では前立腺癌には同じ癌とはいいながら,悪性の経過をとるもののほかにいわば良性のままにすぎるものも少なからずあるといえよう。それなら現実に直腸内触診で前立腺に結節を触れる患者をみたとき,生検とか体液の酵素活性とかその他の方法によつてその患者が将来とるべき経過を推測できるだろうか。もしできるとすると治療の必要性の有無についてあるいは治療法の選択についての判断はすつきりするはずである。ところが現実には前立腺癌の研究はまだその域に達していないのであつて,診断についても治療についてもなお多くの未知の難問を抱えている。
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