手術手技
追加発言・1—経尿管・尿管瘻術
竹内 弘幸
1
,
横川 正之
1
Hiroyuki Takeuchi
1
,
Masayuki Yokokawa
1
1東京医科歯科大学医学部泌尿器科学教室
pp.918-919
発行日 1982年10月20日
Published Date 1982/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413203437
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- 文献概要
主題をはなれるが,はじめに用語の問題にふれておきたい。transuretero-ureterostomyに対する日本語訳として,交叉性尿管尿管吻合術を用いる者が多く,本稿の主論文記述者である松本は尿管尿管吻合術を用いられており,いまだ一定していない。医学用語では原語をなるべく頭から順にそのまま訳してそれぞれの語義がわかるように配列する方針がとられており,しかも個々の原語と訳語とはなるべく一対一に対応するのがよいとされている。この方針に従うと,"trans-"はある物を貫き超えて向う側へという意味から"経"あるいは"超"と訳され,"-stomy"はstomaを作ることつまり口あるいは瘻を作ることから"フィステル形成術"あるいは"造瘻術"と訳されている。これを吻合術とするのはおかしい。同語にはanas-tomosisが対応しているからである。したがつて"transuretero-ureterostomy"は"経尿管・尿管造瘻術"あるいは"経尿管・尿管フィステル形成術"とするのが正しいが,後半の部分は簡略に"-尿管瘻術"でよいのではなかろうか。これで原語の意味する他側の尿管を経て患側尿管の尿を流出させる術,という内容はよく了解できよう。
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