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特集(増刊号の)5 尿路・性器疾患の化学療法(感染症と腫瘍)
Ⅰ.尿路感染症の化学療法
細菌性膀胱炎の臨床
細菌性膀胱炎の臨床—細菌性膀胱炎の起炎菌と薬剤耐性について
Clinical Treatment of Bacillary Cystitis: Drug-resistance of Bacillary Cystitis
石神 襄次
1
Joji Ishigami
1
1神戸大学医学部泌尿器科
1Department of Urology, School of Medicine, Kobe University
pp.85-90
発行日 1972年12月25日
Published Date 1972/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201518
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はじめに
細菌性膀胱炎はわれわれ泌尿器科医が日常しばしば遭遇する疾患であり,通常,起炎菌を同定するまでもなく,化学療法を施行し,しかもその大半がそれによつて治癒せしめている。したがつて,その診断,治療にさいし,ともすればなおざりになり,起炎菌の同定,およびその薬剤感受性についての検索も上部尿路感染症におけるほどは実施されていないのが現状である。しかし,抗生剤の濫用によつてその起炎菌も年とともに大きな変化が認められており,治療にさいしてもこの点の考慮をないがしろにできない症例が増加しつつある。とくに,尿路の通過障害や,膀胱機能の障害を併う基礎的疾患の存在するばあいには,いわゆる複雑な難治性の膀胱炎となつて,再発をくりかえし,起炎菌も薬剤の投与のたびに目まぐるしく変化し,かつそれぞれの起炎菌の性格にいちじるしい差の認められるような症例が増加していることも注目すべき事実である。反対に,自然排尿より分離された細菌を一義的に起炎菌と断定し,患者の主訴のみより難治性膀胱炎としてあまり意味のない化学療法をくりかえし施行されている症例も少なくない。
今回は,われわれの経験した細菌性膀胱炎について,統計的観察をのべると共に,とくにその起炎菌の薬剤感受性を中心とした特徴,他科領域の分離菌との比較などに言及し,さらに耐性菌感染による本症治療の対策についても附言したい。
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