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特集(増刊号の)5 尿路・性器疾患の化学療法(感染症と腫瘍)
Ⅰ.尿路感染症の化学療法
小児の腎盂腎炎
小児期腎盂腎炎の起炎菌と化学療法の問題点
Problems in Bacteriology and Chemotherapy in Pediatric Pyelonephritic Patients
川村 猛
1,2
Takeshi Kawamura
1,2
1都立清瀬小児病院泌尿器科
2慶大
1Urological Division, Kiyose Metropolitan Children's Hospital
pp.77-84
発行日 1972年12月25日
Published Date 1972/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201517
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はじめに
小児の腎盂腎炎は局所症状に乏しく,発熱など非特異的な一般全身症状を訴えるにすぎないため上気道感染などと間違えられやすく,安易な化学療法剤や抗生物質の使用によつて一般症状が緩解するために看過されやすい。しかし本疾患の小児期疾患に占める頻度は実際には非常に高く1〜3),しかも成人期に至つての腎盂腎炎の再発,慢性腎不全,高血圧などの潜在的可能性をもつていることを認識しなければならない。
小児腎盂腎炎の化学療法は単にその起炎菌と薬剤との関係だけでなく,まず小児期における本疾患の特徴を十分把握した上で論ぜられるべきである。その最大の特微は宿主側にあつて,本症における基礎疾患,とくに先天性尿路疾患の存在率がきわめて高いということである4)。
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