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特集(増刊号の)4 泌尿器と関連領域の症候レントゲン診断
Ⅵ.腎動脈性・副腎性高血圧症とレ線像
腎動脈性高血圧症の病態生理
Pathophysiology of Renovascular Hypertension
池上 奎一
1
,
野村 芳雄
1
Keiichi Ikegami
1
,
Yoshio Nomura
1
1熊本大学医学部泌尿器科学教室
1Department of Urology, Kumamoto University Medical School
pp.257-263
発行日 1971年12月25日
Published Date 1971/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201308
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はじめに
1934年Goldblatt et al.は動物の腎動脈を圧縮して持続性高血圧を作製するのに成功,高血圧症研究に飛躍的進展の契機をもたらした。腎動脈狭窄によるこの実験的高血圧症は,Goldblatt's hyper-tensionと呼称され,動物に高血圧を発症させるもつとも確実な方法の1つとして,今日でも高血圧の実験にしばしば利用されている。1937年vonFirksは腎動脈瘤による,1938年Leiterは腎動脈硬化斑による,Boyd and Lewisは腎動脈血栓による高血圧症例を報告,その後種々の腎動脈病変に起因する高血圧症例の報告が相つぎ,動物のGold-blatt's hypertensionと同様の機序による高血圧症が人にもみられることが明らかとなつた。このような腎動脈病変に起因する人の高血圧症は,腎動脈性あるいは腎血管性高血圧症renovascular hy-pertensionと呼ばれ,血管撮影技術の進歩とともに次第に症例数を増し,独立した二次性高血圧症の1つとして認められるに至つた。
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