文献抄録
脊損患者における膀胱尿管逆流の腎機能におよぼす影響
pp.68
発行日 1971年1月20日
Published Date 1971/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201100
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一次大戦当時は脊損患者の80%は受傷後数週間で尿路感染や褥創潰瘍などのために死亡した。最近では,二次大戦の脊損患者の14年間の経過観察では死亡率は25%となり,朝鮮戦争では13年間の観察で死亡率は14%と大巾に減少している。これら死亡者の内半数は腎機能不全が原因となつている。これら患者の腎障害の要因としては,Hacklerは腎盂腎炎・腎アミロイドージス・結石・非閉塞性水腎症・膀胱尿管逆流などをあげている。近時腎盂腎炎・結石などの治療は長足の進歩をとげているが,膀胱尿管逆流の管理・処置については,まだ議論の余地のあるところで,著者らは脊損患者について,この逆流現象の有無による腎機能の影響について考察を加えている。1967年7月以降著者らの取扱つた脊損患者は194名であるが,泌尿器科的腎機能の諸検査を完全に施行し得た118名についての観察結果を述べている。118名を5群に分けて,A群・両側逆流のある者13例,B群・偏側性逆流の者81例,C群・逆流のない者19例,D群・単腎者で逆流のある者2例,E群・単腎者で逆流のない者3例で,これらの症例についてクレアチニンクリアランス,IVP,血清中クレアチニン量,BUN,CBC,腎盂レ線像,尿培養,導尿法による影響などの諸点を重点的に各群患者の腎機能との関連を比較検討している。
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