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特集(増刊号の)3 小児の泌尿器疾患
Ⅰ.綜説
小児泌尿器疾患の症状と鑑別
Symptoms and Differential Diagnosis of Urological Diseases in Infants and Children
大田黒 和生
1,2
Kazuo Otaguro
1,2
1国立小児病院泌尿器科
2東京大学
1Urological Department National Children's Hospital
pp.7-18
発行日 1970年12月25日
Published Date 1970/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413201064
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緒言
小児泌尿器疾患の症状とその鑑別診断について詳説するには誌面上の余裕がないので,一般的な症候論などについては別紙にゆずり1〜4),従来,泌尿器科領域で見落されがちであつた事項を重点的に記すようにした。
衆知のごとく,尿路系の症状のうち,下部尿路疾患に関するものは排尿異常が中心であり,上部尿路疾患では発熱,食欲不振などの全身症状が,尿量の異常,尿所見の異常とともに重要な要素となる。性器系の症状としては外陰形態の異常,陰嚢内容の欠損,腫脹である。しかし,数多くの尿路・性器疾患が無症状のまま経過し,みのがされている可能性も大きい。例えば,発熱発作,腹部腫脹が主訴の時,泌尿器科外来を初診してくることはないし,一方,その裏に重大な尿路疾患が隠されている可能性に気づかない小児内科,小児外科の医師達も少なくないからである。したがつて,当然,彼らの理解と協力なしには,また親達への啓蒙なしには小児泌尿器科学の進歩はありえないとさえいえるのである。また近年,小児内科,小児外科専門の医師達の間に小児泌尿器系疾患に対する関心が高まつてきており,彼らの相談に役立つだけの知識と経験を泌尿器医自身が充分にもつことが要望されている5)。
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