Japanese
English
Urological Letter
尿路疾患を思わせるような剥離性動脈瘤/泌尿器科医は堀出し物の名人か
The Serendipity of Urology
pp.702,744
発行日 1970年8月20日
Published Date 1970/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413200975
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
尿路疾患を思わせる血管性疾患(動脈瘤形成)の最近の例は剥離性動脈瘤で,主症状が尿路疾患に似ているという点で,われわれに時宜に適した教訓を残した。適切なレ線検査を行なえば,通常尿路外の疾患という診断はつけられる。しかし,それらの検査を行なう前にしばしば大出血をおこして死亡する。
1人の中年の男が左側尿管の典型的な疝痛を訴えて,彼の主治医によつてわれわれの病院に入院させられた。この患者の病歴には尿管結石の自然排出があつた。腹部の理学的検査で,下腹部の前左側に言うに言われぬ圧痛があることがわかつた。直腸診では特に何もなかつた。排尿させた尿には特に病的所見はなかつた。排泄性尿路レ線像には尿路外のいくつかの石灰化巣がみられた。しかし,はつきりした尿管結石を証明することはできなかつた。左尿管は明らかに側方に偏倚されていた。血管状態の検査の必要なことに思い当り,これを行なつた。手術の用意をしていたときに動脈瘤が破裂した。幸いに生命を助けることができたし,大量の出血やショックにもかかわらず手術後の衰弱も最少限で済ましえた。
Copyright © 1970, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.