文献抄録
卵巣静脈症候群/前立腺癌の肺野転移消失症例
pp.47,84
発行日 1970年1月20日
Published Date 1970/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413200846
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尿管狭窄の原因とその程度は多種多様であるが,卵巣静脈による尿管狭窄の症例を報告する。多くの泌尿器科医はこの問題についてなお壊疑的な意見をもつている。Clark (1964)は静脈による右尿管狭窄について言及し,これを右卵巣静脈症候群とよんでいる。そして彼はこの症例の7例について報告しその臨床症状と知見について述べている。この疾患は両側性の症例はないが,1例だけ左側に見られた症例がある。大部分の婦人は妊娠中に症状がはじまる。最近Derrik (1967)も妊娠中に見られる水腎症および腎盂腎炎に対する卵巣静脈の意義について言及している
しかし現在なお決定的な診断法はないといえるが,将来多数例のこの疾患について検討を加えれば更に広い知見を得ることと思われる。著者の症例は24才女子,主訴は右下腹部痛と尿路感染ではある,,2回の経産婦で今までに尿路の症状は全くなかつた。局所に腫瘤や圧痛はなく尿培養にて大腸菌が証明されている。排泄性腎盂撮影で両側の水腎,水尿管所見と仙骨部に尿管の狭窄像が見られた。抗生物質の投与と尿管カテテリスムスによつても症状は継続するので開腹術を施行。広靱帯から出る数本の大きく拡張した静脈が尿管を横切つてこれを圧迫していることを確認し,左側ではこれを切断,右側では剥離し尿管から遊離した。術後症状は消失,3週日目の腎盂撮影では水腎は消失した。
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