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特集(増刊号の)2 腎不全
Ⅲ.慢性腎不全
慢性腎不全の原因と形態病理的解釈
Factor and Pathological Construction of Chronic Renal Failure
竹内 正
1
Tadashi Takeuchi
1
1日本大学医学部病理学教室
1Department of Pathology, Nihon University School of Medicine
pp.47-54
発行日 1969年12月25日
Published Date 1969/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413200814
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まえがき
慢性腎不全の病理形態学を論ずるとき,限られた紙面でまとめるとすれば幾つかの前提をおく必要がある。第1に病理学的記述を腎に限定すること。腎不全時における全身諸臓器の変化は今回記述の外におくこと。第2に腎不全の原因のすべてを羅列する余裕はないので本稿ではいわゆる閉鎖性慢性糸球体腎炎,糖尿病性腎症および慢性腎盂腎炎の3つの代表的疾患に限定する。第3には腎不全の成立がネフロン全体の総合的機能不全であることは生理学的にはほとんど自明の事実であるにもかかわらず病理形態学的解析はまだ充分にこれの裏附を与えていない。すなわち糸球体の変化はかなりの解明が進んでいるにもかかわらず尿細管系の整理が充分でない現状である。第4に変化の経時的解析が不充分である。腎不全は固定した概念ではない。この状態に漸次陥る一つの動的経過として理解されているのに経過の変遷と組織関係の対比が充分に示されているとはいい難い。このような現状を卒直に認めた上で記載をすすめてゆくことにする。
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