思いつくまま
現代の医者
黒田 一秀
1
Kazuhide KURODA
1
1福島県立医科大学
pp.724
発行日 1968年9月20日
Published Date 1968/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413200494
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激しい腹痛が起こつて楽なときは全然なくなつた。しかし熱がないので,医者達は楽観していた。この重病人の枕もとで,あのモリエール流のいまわしい茶番劇がはじめられる。十七世紀の人間は,臨床に必ずこんな目にあわなければならなかつたのである。医者のひとり,ゲノー氏は,パスカルの両腕から瀉血し,下剤をかける。
つぎに油とブドー酒の浣腸をおこない,さらに三回にわたつて瀉血する。「パスカル氏はその腹痛のために再度腕から瀉血された」と一医師は記録している。オメー,プレイエ,ゲノー,ルノドー,ウァロなどの医師が診察したが,そのひとりはセンナを飲ませることを主張し,他のひとりはタマリンと「きくぢしや」を下剤に調合したらといい,また他のひとりは「カトリコン」がいいという。
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