文献抄録
前立腺癌の組織悪性度と酸フォスファターゼ/膀胱瘻術の新手技
pp.516,537
発行日 1968年7月20日
Published Date 1968/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413200446
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著者のこの研究の目的は前立腺癌のGradeとその予後ならびに血中酸フォスファターゼの関連について調査したものである。調査の対象とした患者は生検術Biopsyにより前立腺癌を確認し,理学的検査あるいは生検術によりその遠隔転移を認めた症例を選んだ。調査した期間は5年以上,患者の死亡までの可及的長期に及んだ。前立腺癌のGradingはⅠ度は癌病巣の分化度もよく腺胞構造を残し円柱上皮の核変化は少ないもの,Ⅱ度は腺胞構造は存在するが,癌細胞の構造,配列に相当の不正を見るもの,Ⅲ度は未分化癌のものとした。著者は生検により1500名の前立腺癌症例から転移の明確な96例を選んで調査したもので,Grade Ⅰ24例,Ⅱ45例,Ⅲ27例である。生存率について見ると96名の60%は1年以内に死亡し,5年生存は5%である。しかしGrade ⅠとⅢの癌症例については,1年以内の死亡率は同程度の率であるが1年以上3年程度では未分化癌のものが圧倒的に高い。また5年の生存率では両者共に同程度となつている。次に酸フォスファターゼと組織的悪性度との関係について見ると75症例が比較の対象となつているが,最高の酸フォスファターゼ値と悪性度の間に有意の相関が見られた。Grade Ⅰの症例では70%のものが2.5 B.U.以上の値であるに反し,Grade Ⅲではこの値のものは30%以下であつた。
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