文献抄録
手術不能の腎癌と診断されて37年間生存/Basketによる尿管腫瘍の診断
pp.229,249
発行日 1967年3月20日
Published Date 1967/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413200122
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腎癌(副腎腫)の腎剔出術後にその肺転移巣の自然治癒を見たという報告はあるが,ここに述べる症例のように試験開腹によりその組織検査から副腎腫の確定診断をうけ,その術37年間の長期生存例は文献上見当らない。
症例は68才男子で,既に1917年に左側腹部に腫瘤を指摘されたが,特に苦痛はないのでそのまま10年間放置した。1917年になり腫瘤は左腹部を占める巨大なものとなつたのでMilitary Hospital, Szegedにて開腹術をうけ,腫瘤は左腎から発生したものであり生検組織検査から淡明細胞癌と診断されたが,剔出不能として試験開腹に終つた。この腎癌は特に発育・転移をきたすことなく,患者は30年間異常なく経過した。1958年この患者は前立腺肥大のため前立腺剔出術をうけ当時左腎の開腹手術をすすめられたが,これをうけなかつた。
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