書評
「図解 解剖学事典 第3版」―Heinz Feneis 原著/山田英智 監訳/石川春律,廣澤一成,坂井建雄 訳
野村 嶬
1
1佛教大学・神経解剖学
pp.444
発行日 2014年5月20日
Published Date 2014/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413103591
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
この度,『図解 解剖学事典 第3版』が実に30年振りに全面改訂されて出版された。もう改訂はないのではと漠然と思っていた全面改訂が,わが国の解剖学の泰斗である山田英智先生,石川春律先生,廣澤一成先生,および坂井建雄先生の手によりさらにグレード・アップした,しかも美しい形で改訂されたことにまずは御礼を申し上げる。
本書に掲載されている解剖学用語は,世界標準である国際解剖学用語集“Terminologia Anatomica”と日本解剖学会の『解剖学用語 改訂13版』に準拠し,日本語,英語,およびラテン語で記載されている。本書の基本構成は見開きページの左に用語を,右に対応するイラストを載せて両者を視覚的に結び付ける旧版の優れたスタイルを完全に踏襲しており,解剖学の効果的な学習を可能にしている。本書は旧版より70数ページ増加しているが,それは主に解剖学総論と脳の部分であり,前者のページ数増加は解剖学を初めて学ぶ学生にとって大いに役立つであろう。脳の部分のページ数増加は主として脳断面での半細胞構築学的組織像と神経路の記載増加によるものであり,これは複雑な脳構造の局所解剖学的および機能解剖学的理解をより容易にするであろう。動物実験では存在が明らかであるが,人ではその存在が未確認である神経路は,そのこともきちんと記載されている。
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.