特集 泌尿器科診療ベストNAVI
Ⅱ 疾患・病態の診療
9 その他の疾患
男性器疾患
114 射精障害
並木 俊一
1
1東北大学医学部泌尿器科
pp.315-316
発行日 2013年4月5日
Published Date 2013/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413103183
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1 診療の概要
射精と呼ばれる生理現象は,①精液が後部尿道へ排出される現象(seminal emission),②後部尿道に排出された精液が尿道周囲群の律動的な収縮により体外へ射出される現象(ejaculation),③射精時における内尿道口の閉鎖現象,という3つの過程があり,射精時の絶頂感(オルガスム)はこれらに付随して存在すると考えられる。
射精障害には,早漏(premature ejaculation:PE),射精遅延,無射精症,逆行性射精,無オーガズムがある。PEは腟挿入後,いつもあるいはほとんど常に約1分以内に射精してしまい苦痛,不満などの悪影響をもたらす状態である(International Society for Sexual Medicine 2012)。続発性および/あるいは状況依存性PEは心因的原因,原発性および/あるいは状況非依存性PEは身体的原因が推察される。またPEの約30%にEDの合併が認められ,完全な勃起の前に射精が起こる。PEは非常に頻度の高い障害であり,正確な有病率は30%との報告もある1)。オーガズム障害もPE同様,原発性か続発性か,状況性か非状況性か,に分類される。器質的あるいは機能的な原因の多くは表1のように指摘されている。射精の中枢あるいは精管や膀胱頸部の末しょう神経系,骨盤・陰茎の体性神経系などの障害を引き起こすことが多い。前立腺あるいは膀胱の手術後に発生することも多い。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などの薬物が誘導することもある。また,射精遅延はほかの性機能障害と同様に,加齢とともに頻度が増加する2)。
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