特集 泌尿器科診療ベストNAVI
Ⅱ 疾患・病態の診療
4 尿路・性器の感染症
非特異的感染症
053 単純性膀胱炎
山本 新吾
1
1兵庫医科大学泌尿器科
pp.154-155
発行日 2013年4月5日
Published Date 2013/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413103122
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1 概念・病因
尿路感染症は直腸の常在菌が腟などの会陰部にコロニーを形成し,尿道から膀胱へ侵入することで発症する逆行性(上行性)感染である。膀胱に侵入した菌は,線毛や接着因子で膀胱粘膜へ付着・定着し,さらに粘膜組織内(細胞内)へ侵入し細胞障害性毒素を分泌する。この細菌の侵入に対して宿主の炎症が惹起されることにより膀胱炎が発症する。単純性膀胱炎の分離菌はグラム陰性菌が主であり大腸菌が起炎菌の約70%,そのほかProteus mirabilisや肺炎桿菌,グラム陽性菌では腸球菌,Staphylococcus saprophyticusなどが分離される。
また,単純性膀胱炎は20~40歳代の性的活動期に最も多いことが知られている。閉経後女性においては,女性ホルモンの低下に伴い腟の常在菌である乳酸菌が減少するために直腸細菌が容易にコロニーを形成しやすいことが尿路感染症の主な原因とされている。
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