特集 泌尿器科診療ベストNAVI
Ⅱ 疾患・病態の診療
4 尿路・性器の感染症
非特異的感染症
054 複雑性膀胱炎
金丸 聰淳
1
1西神戸医療センター泌尿器科
pp.156-158
発行日 2013年4月5日
Published Date 2013/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413103123
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1 概念・病因
複雑性尿路感染症は,尿路の機能的ないし器質的基礎疾患に伴う尿流障害(残尿,水腎症など)やカテーテル留置などを背景に発症する。罹患年齢は老年期に偏り,泌尿器科における男女比は2~3:1である。主な基礎疾患は前立腺肥大症,前立腺癌,膀胱癌,神経因性膀胱,尿道狭窄,膀胱結石などであるが,糖尿病,ステロイド・抗癌剤投与中など,全身性感染防御能の低下状態も含まれる。
臨床症状に乏しく慢性の経過を示すが,尿流障害の増悪を契機として急性増悪(敗血症を含む急性腎盂腎炎)を呈する。この急性増悪時の感染症は抗菌化学療法の絶対的適応である。基礎疾患が除去されない限り再発を繰り返し,単純性膀胱炎のような臨床的治癒は得られないことも多い。
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