特集 こんなときどうする!?―泌尿器科手術のトラブル対処法
Ⅱ 体腔鏡下手術
■腹腔鏡下腎盂形成術
053 水腎症の再発にステントの再留置を試みたが尿管は完全閉塞していた
小島 祥敬
1
,
西尾 英紀
1
,
林 祐太郎
1
Yoshiyuki Kojima
1
,
Hidenori Nishio
1
,
Yutaro Hayashi
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科腎・泌尿器科学分野
pp.151-152
発行日 2011年4月5日
Published Date 2011/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102299
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Q 腹腔鏡下腎盂形成術を施行した10歳男児の症例。1か月後,再入院で留置していた内瘻ステントチューブを抜去したところ水腎症が再発し,再度,内瘻ステント留置を試みたが完全閉塞していた。すぐに開腹での再手術を行ったほうがよいか。
[1]概 説
最近,腹腔鏡下腎盂形成術と開腹による腎盂形成術の比較検討をしている報告が認められているが,いずれの報告でも,腹腔鏡下腎盂形成術は開腹手術に劣るものではなく,短期の手術成績は良好であることが示されている。当施設における短期の経過観察例での手術成功の定義は,術後1年の時点で,①超音波検査で腎前後径の減少を認めないもの,腎盂前後径の改善を認めるもの,およびSFU分類のgradeの改善,②利尿レノグラムでのT1/2の改善と,分腎機能が保持されているもの,③症状が術前に認められたものは,症状の消失,これら3つが認められたものとしている1)。これまでの当施設の小児に対する腹腔鏡下腎盂形成術の短期の成功率は95.5%と,開放手術とほとんどかわりがない2)。しかしながら本症例のように,術後ステントを抜去後に水腎症をきたす症例は成人例であれ小児例であれ経験することになる。こういった症例に対して,適切な対処を行うことは,術後の腎機能の温存のためには非常に重要である。
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