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特集 泌尿器科ベッドサイドマニュアル
Ⅳ ベッドサイド検査の実際
■10.特殊な検査
053 特殊な検査(腫瘍マーカー)
Tumor marker
原 貴彦
1
,
松山 豪泰
1
Takahiko Hara
1
,
Hideyasu Matsuyama
1
1山口大学大学院医学系研究科泌尿器科学分野
pp.294-298
発行日 2012年4月5日
Published Date 2012/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102770
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[1]はじめに
癌では,腫瘍が産出する物質や腫瘍関連物質が体液中(血液,尿)に検出されることがあり,これらの物質は腫瘍マーカー(tumor marker)と呼ばれてきた。一方,バイオマーカー(biomarker)は,“A laboratory measurement that reflects the activity of a disease process.”と定義され1),客観的に評価し得る患者の臨床的特徴,画像検査所見,病理組織学的所見,血液生化学的所見などがバイオマーカーに含まれる。腫瘍マーカーはバイオマーカーの一部であるが,本項では,血液,尿中に検出できるバイオマーカーに限り,腫瘍マーカーとして取り上げる。
腫瘍マーカーは,腫瘍に特異的に産生されるものではなく,正常に対して量的に変化するものであり,腫瘍マーカー物質の産生は腫瘍を構成する細胞の種類によりさまざまである。腫瘍マーカーの臨床的な役割は,①腫瘍の発見,スクリーニングに寄与すること,また,化学療法後や根治術後の再発の早期発見が可能であること,②治療効果の評価が可能であること,③予後を推測することができ,効果的な治療に結びつくこと,などが挙げられる。理想的な腫瘍マーカーは,腫瘍に対して感度が高く特異的であり,腫瘍の病勢を反映することが必要である。残念ながら,理想的な腫瘍マーカーといえるものは,今日まで見つかっていない。泌尿器科領域では,前立腺癌における前立腺特異抗原(PSA)は,限界はあるものの,ほぼ理想に近い腫瘍マーカーと考えられる。
以下,代表的な泌尿器科領域の癌腫別に腫瘍マーカーについて総説する。
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