特集 泌尿器科診療ベストNAVI
Ⅰ 症状・徴候からのアプローチ
排尿に関する症状
007 尿線の異常
野口 満
1
,
東武 昇平
1
,
魚住 二郎
1
1佐賀大学医学部泌尿器科
pp.34-35
発行日 2013年4月5日
Published Date 2013/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413103075
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1 定 義
正常な排尿は,排尿の決断後すぐに特別な努力なく,太い尿線で尿が連続的に放出される。これが短時間で残尿なく終了する。排尿障害の症状の1つとして尿線の異常1)(表1)が出現する。尿線異常には尿勢低下,尿線分割・散乱,尿線途絶,終末滴下がある。さらに,尿勢低下を補うための腹圧排尿も広義の尿線異常と捉えられる。
尿勢低下は,前立腺肥大症,尿道狭窄などの膀胱出口部閉塞(bladder outlet obstruction:BOO),あるいは排尿筋収縮不全や尿道括約筋弛緩不全,排尿筋尿道括約筋協調不全などの神経因性膀胱でみられる。尿線分割・散乱は外尿道口の狭窄・奇形,船状窩内の結石,腫瘍などが原因として挙げられるが,包皮による外尿道口の閉塞,すなわち包茎でみられることも多い。尿線途絶は膀胱結石,膀胱内凝血,膀胱頸部付近に生じた有茎性腫瘍などが原因で,これらが排尿中に尿道を閉塞することにより起こる。
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