特集 こんなときどうする!?―泌尿器科手術のトラブル対処法
Ⅳ 開腹手術
■陰茎の手術
109 陰茎全摘除術で出血のコントロールが困難になった
香野 日高
1
,
水野 隆一
1
,
中川 健
1
,
大家 基嗣
1
Hidaka Kono
1
,
Ryuichi Mizuno
1
,
Ken Nakagawa
1
,
Mototsugu Oya
1
1慶應義塾大学医学部泌尿器科
pp.293-295
発行日 2011年4月5日
Published Date 2011/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102357
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Q 陰茎全摘除術を施行した症例。出血のコントロールが困難になり,オリエンテーションがつかなくなってしまった。
[1]概 説
陰茎全摘除術は,陰茎癌に対する根治的な治療法である。砕石位で会陰部を切開し,尿道,陰茎海綿体を切断して,尿道瘻を作成する手術である。化学療法が無効であることが多いため,手術によって根治的に摘除できたか否かは,患者の予後を大きく左右する1)。経会陰的アプローチでの手術は,泌尿器科医でも日常多く行われるとは言いがたいうえに,会陰の深い部位での出血は止血が困難となることもある。止血を中途半端にして閉創してしまうと術後血腫ができ,創離開につながったり,ドレーンがいつまでも抜けないなどの事態が生ずる。会陰は汗をかきやすく,感染しやすい場所であるので,患者のQOLは著しく低下し,入院期間も延長してしまう。本項では,陰茎全摘除術中に出血のコントロールが困難になった際の対処方法について論述する。
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