特集 こんなときどうする!?―泌尿器科手術のトラブル対処法
Ⅳ 開腹手術
■膀胱の手術
082 骨盤リンパ節郭清中に内腸骨領域から多量の出血が起きた
古家 琢也
1
,
杉山 尚樹
1
,
工藤 茂将
1
,
大山 力
1
Takuya Koie
1
,
Naoki Sugiyama
1
,
Shigemasa Kudoh
1
,
Chikara Ohyama
1
1弘前大学大学院医学研究科泌尿器科学講座
pp.224-225
発行日 2011年4月5日
Published Date 2011/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102330
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Q 膀胱癌に対する膀胱全摘除術を開始した症例。骨盤リンパ節を郭清していたところ,突如,内腸骨領域から多量の出血が始まった。
[1]概 説
筋層浸潤膀胱癌に対するリンパ節郭清術は標準的な手術であるが,その郭清範囲を拡大することにより予後の改善に寄与する可能性が示唆されている1,2)。しかし,血管周囲を剝離する操作であるため,時に大出血を引き起こす危険性がある。動脈からの出血は,出血が拍動に同期しているため,出血点を探しだすことは比較的容易であるが,静脈系,特に骨盤内の静脈からの出血は,たとえ細い無名静脈の損傷だとしても,一気に多量の出血を認めることもあるため,出血点を見極めることが困難な場合もある。
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