特集 こんなときどうする!?―泌尿器科手術のトラブル対処法
Ⅱ 体腔鏡下手術
■後腹膜鏡下根治的前立腺摘除術
049 尿管口に近い部位で膀胱が切れた
伊藤 敬一
1
Keiichi Ito
1
1防衛医科大学校医学研究科泌尿器科学講座
pp.139-141
発行日 2011年4月5日
Published Date 2011/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102295
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Q 後腹膜鏡下根治的前立腺全摘除術を開始した症例。尿管口に近い部位で,膀胱が切れてしまった。
[1]概 説
後腹膜鏡下前立腺全摘除術(EERP)において,膀胱頸部と前立腺の剝離の際に頸部が大きく開放し,尿管口が吻合部に近くなることがある。開放手術においても,膀胱頸部温存を行わない場合はこのような状況をしばしば経験するが,膀胱頸部を逆テニスラケット型に形成した後に膀胱尿道吻合を行っているため,通常は大きな問題とはならない。遠隔操作である体腔鏡下手術という状況下においては,開放手術と同様の手技を行うのは少し難しい。このような状況を作らないことが第一であるが,術者として本手術の経験数がまだ少ない場合,中葉肥大が高度な症例やTUPP後の症例など1)は,吻合部に尿管口が近くなり困った経験を持つ術者は多いと思われる。本項ではEERPにおいて膀胱頸部が比較的大きく開放し,尿管口と吻合部が近くなった場合の対処法について述べたい。前項(048)で述べた考え方も参考になると思われるので,一読していただければ幸いである。
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