書評
「子宮頸部細胞診ベセスダシステム運用の実際」―坂本穆彦 編/坂本穆彦,今野 良,小松京子,大塚重則,古田則行 執筆
長村 義之
1
1国際医療福祉大病理診断センター
pp.198
発行日 2011年3月20日
Published Date 2011/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413102227
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本書は,わが国にも本格的に導入された,子宮頸部細胞診の新しい報告様式である“ベセスダシステム2001”に関する解説・手引書である。
広く知られるように,1980年代にその頃用いられていたパパニコロウクラス分類やDysplasiaのグレードなどにおいて,不一致あるいは検体の適正などが医療訴訟にも直結する問題点としてあげられていたが,ベセスダシステムThe Bethesda Systemは,その解決策として考案され普及してきた分類法である。①検体の適・不適を明確化する,②パパニコロウクラス分類を廃し,新しい診断システムを導入する,③細胞診の報告はmedical consultationと位置づける,などがキーポイントである。2001年の改訂版では,骨子は大きく変わらないものの,①判定困難な症例に対するカテゴリーの用語に変更が加えられたこと,②ヒト乳頭腫ウイルス(human papilloma virus:HPV)に対する研究成果を取り入れたことなどが主な変更点である。これにより,HPV・DNAテストと細胞診の関連がクローズアップされた。
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