書評
「臨床中毒学」―相馬一亥 監修/上條吉人 執筆
田勢 長一郎
1
1福島県立医科大学附属病院救急科
pp.200
発行日 2010年3月20日
Published Date 2010/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101910
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中毒学は単なる医学の一分野ではなく,化学・薬理学の応用であり,緊急かつ適切で高度な医療を必要とする救急医学においても重要な位置を占めている。さらに,患者の内面性や社会的な背景についての検討も避けては通れず,法医学や精神医学的なアプローチも求められる。すなわち,中毒学は基礎から臨床に至る総合的な学問であり,予防から根本的な治療を図るには多くの専門科の集学的な治療を必要とする。
上條博士は大学時代に化学に没頭し,さらに医学の道に進んだ後は,脳科学への関心から精神科医として研鑽を積んでいた。そして重症患者管理の必要性も痛感して救命への道を歩み出し,現在は救急医学の若手リーダーとして活躍している。本書では,臨床中毒学にはうってつけの,その豊富な知識・経験に裏打ちされた「筆者ならではの強み」を発揮している。
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