書評
—上條 吉人 著—臨床中毒学 第2版
沼澤 聡
1
1昭和大学大学院・毒物学
pp.2018
発行日 2024年10月10日
Published Date 2024/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402229842
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多くの救急医に好評を博していた上條吉人先生の『臨床中毒学』の改訂版が刊行された.著者は,理学部で化学を専攻したのち医師となったが,当初の専門は精神科であったと聞く.その後,担当患者の死を契機に救急医に転身し,中毒沼にはまっていったとのことである.このような経歴が醸し出す雰囲気は,本書の随所に感じられる.
すなわち,急性中毒治療の原則に「精神科的評価・治療・トリアージ」を含めて5大原則としたこと,各中毒起因物質の説明に薬物の構造や物性,代謝などケミストリーが多く取り上げられていること,「毒のメカニズム」として毒性発現の薬理学的メカニズムを詳細に解説していること,実症例をふんだんに紹介していること,著者自身の撮影による植物・動物を含めた多くの写真など,挙げればきりがない.
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