書評
「心房細動の治療と管理Q & A 第2版」―井上 博,新 博次,奥村 謙 著
杉本 恒明
1
1関東中央病院
pp.870
発行日 2009年10月20日
Published Date 2009/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413101829
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心房細動はありふれた不整脈である。加齢に伴って現れる,避けられない種類の病態のように思える。60歳代で1%,80歳以上では5%にみられ,日本では70万人もがこれに悩まされているという。心房細動は生活の質(QOL)を損ない,心不全を悪化させる。ことに年間1~5%が脳梗塞を発症し,一方,脳梗塞症例の4分の1が心房細動に由来するといわれる。血栓の予知・予防が重要課題となっている。心房細動にはまず,薬物治療によって対処するが,これにはリズム・コントロールとレイト・コントロールとがあり,一長一短がある。最近,これに日本でのデータが加わった。近年,カテーテル治療が良い成績を挙げるようになった。カテーテル・アブレーション治療の効果は発作性で70%以上,持続性で22~45%となっている。アブレーションは肺静脈を心房から隔離するものであり,この効果から,心房細動の病態理解のための手がかりが得られつつある。
つまり,心房細動は日常的にみられるがゆえに,臨床医が普段の診療の対象として知っておかなければならない不整脈であり,かつ,特殊治療の選択肢があるがゆえに,少なくとも知識として病態と治療に関する最新の知見を知っておかなければならない病気なのである。
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